2000年に、あるユーザーから、アルコール系の廃液のエマルジョン装置の依頼を受けたのが、KISシステムの始まりでした。
しかし、技術的な課題は少なかったのですが、当時はダイオキシン類対策特別措置法が施行された翌年でもあり、廃棄物に対する
厳しい取組みが行われ、廃棄物処理費も高騰していました。
副生液無害化燃焼法 KISシステムKISシステムの開発経緯ついて
2000年に、あるユーザーから、アルコール系の廃液のエマルジョン装置の依頼を受けたのが、KISシステムの始まりでした。
しかし、技術的な課題は少なかったのですが、当時はダイオキシン類対策特別措置法が施行された翌年でもあり、廃棄物に対する 厳しい取組みが行われ、廃棄物処理費も高騰していました。
確かに、ボイラからの黒煙は公害規制により、厳しく規制させられていたため、見る事はありませんでしたが、
ボイラ設備の隣にある焼却炉から真っ黒な煙が出ていると言う光景は良く見かけました。
つまり、ダイオキシン類対策特別措置法が施行される前は、世界一厳しいボイラ等の固定発生源に対する環境基準を持ちながら、 焼却炉に関しては殆ど無規制と言う歪んだ状態であったものが、この法律を機に焼却炉を新設する事が、ボイラを新設するよりも 難しく、イニシャルコストやランニングコストもかかる様になったのです。
依頼のあった、廃液も行政への届出の際に、やはり廃液=廃棄物ですから新法成立後は、焼却炉以外では焼却処理が出来ない事
が判りました。
ところが、当社では1976年より水エマルジョン装置セキエマーを公害防止機器として多くの需要家に販売しており、
当時出光興産(株)殿においても、環境対策提案の一貫として弊社セキエマーを販売して頂いておりました。
もし、エマルジョン燃焼でダイオキシン類濃度が上昇するのであれば、社会通念上需要家にその事を伝え、 代替の公害防止技術で対応して貰う事が必要です。しかし、その様な知見もデータも無く、それ以前にボイラで発生する ダイオキシン量さえ定かではありませんでした。 この為、出光興産(株)殿のご協力を得て、ボイラをシミュレートした水冷壁炉にて水エマルジョン燃焼の、恐らく世界で初の ダイオキシン類測定が行われました。
結果は関係者を安堵させるものでした、ボイラのダイオキシン類は極めて低く、水エマルジョンでも増加しない事が判りました。
又同時に行った廃液エマルジョンの測定結果から、その廃液中に含まれる塩素量と排ガス中のダイオキシン類濃度が、正の相関関係に ある事が判り、廃液の塩素濃度の分析結果から予想される排ガス中のダイオキシン類濃度を計算する事ができました。 この為、焼却炉で廃液を処理するより、極めてダイオキシン類濃度が低くなり、その熱の再利用も高い効率で行える、 「廃液を処理するための産業用燃焼設備およびこれを用いた廃液処理方法」等の副生液無害化燃焼の関連特許出願の 契機となりました。
製品化にあたっても、当社の持つ水エマルジョン技術と、空燃比制御を自在にコントロールできるマルスボックスを融合させる
事により、負荷変動を吸収する必要のある汎用ボイラで、充分に安全運転が出来る事が確認できました。
しかし、廃棄物を燃焼させるには、廃棄物処理法と言う高いハードルがありました。特に当時ダイオキシン類問題で揺れた 隣接地域と言う事もあり、お客様や行政機関の真摯な取組みが実り、技術的な側面はもちろん、コンプライアンスを遵守した 2004年度「エネルギー使用合理化事業者支援事業」の補助金事業に「副生液ボイラシステム導入による省エネルギー事業」が採択され 焼却炉で焼却処理を行っていた廃液を副生液(=有価物相当)としてボイラ燃料の一部として活用し、 廃棄物を削減し、化石燃料の消費も削減しながら、通常燃料を使用したボイラを凌駕する負荷追従性、使いやすさ、安定性を実現 する事ができました。 2007年には、日本・韓国・中国の特許も認められ(ECは申請中)これからも廃棄物削減及び地球温暖化対策の一助として この技術を正しく普及させて行きます。 KISシステムの概要
KISシステムの検討フロー
廃棄物処理及び清掃に関する法律について
平成9年の同法の改正に伴い、
同法施行規則第六条の四(再生利用の内容の基準)、
同第十二条十二の四(再生利用の内容基準)において、一般廃棄物、産業廃棄物
とも政令で定めたものを除き、燃料を目的として再利用する事が禁じられている。
有価物としての判断
環整第45号厚生省環境衛生局環境整備課長通知「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の運用に伴う留意事項について」
第一 廃棄物の範囲等に関すること 1 廃棄物とは、占有者が自ら、利用し、 又は他人に有償で売却することができ ないために不要になった物をいい、これらに該当するか否かは、占有者の意思、 その性状等を総合的に勘案すべきものであって、排出された時点で客観的に廃棄物として観念できるものではないこと。
プロセスから副生される物質は、様々な溶質や不純物が含まれています。有価物としての価値は、それらの物質の性質や含有量
や除去技術等により決定されます。
KISシステムでは、炭化水素系の廃液について、出光興産(株)燃料技術研究所において、燃料としての精密な分析を行うと共に プロセス毎の特性やバラツキ等を考慮し、有価物化のお手伝いを行います。 さらに、必要に応じて同研究所の水冷壁炉を用いて、KIS対応のエマルジョン燃料製造装置を用い、副生液を実際に燃焼させ それらの燃焼特性や排ガス組成等を調べる事ができます。 納入実績
■ボイラ用
15システム ■その他産業用炉 2システム エネルギー使用合理化事業者支援事業採択案件
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KISシステム
KISシステムの様々な技術分析研究技術・燃焼試験設備(出光興産)ミキシング技術(関口)
ミキシング技術は、関口の長年の技術で培ったエマルジョン燃料製造技術が最も発揮される部分です。
新技術にありがちな、故障や信頼性の不安等は皆無です。 副生液の特性に合わせた、接液材質の選定やミキシング方法の検討、そして1年間無故障が当たり前のボイラ 技術で培われたセキエマーの信頼性に対する考え方が如何無く発揮されています。 空燃比制御・ボイラ制御技術(関口)
KISシステムを支える当社のもうひとつの技術が、高度な空燃比制御とボイラ制御を実現するマルスボックスの技術です。
焼却炉と異なり、産業用の燃焼設備に適用されるKISシステムでは、トラブルは許されません。 いくら省エネルギーが出来たと言っても、装置がダウンしては工場全体が止まってしまう事になりかねません。 又、副生液は一般に燃料に比べて発熱量が低く、極めて低粘度であったり、逆に樹脂が混じる場合には高粘度であったり します。これらを副生液量に応じて、発熱量が一定になる様に噴射量を調整したり、アシスト量やレジスタ開度を調整し、 更に、空燃比も最適化する必要があります。 しかも、副生液が無くなれば、燃料100%での燃焼も完全な状態で行わないと、省エネルギーにはなりません。 マルスボックス技術は、この様に副生液を燃料として使用しながら、その熱量を最大限に サーマルリサイクルする為に欠く事の出来ない技術です。 エンジニアリング技術(出光エンジニアリング)
副生液の貯層、配管施工、工事計画や指導等副生液を燃料として安全使用する為には、危険物に対する深い知見と技術が必要です。
出光興産の製油所で培われたこれらの技術は、危険物を取り扱う需要家の皆さんにも、きっとご満足頂けるエンジニアリング技術を提供できます。 ボイラ技術・低NOx燃焼技術
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